16. 構造物境界部の保守頻度を低減する標準縦まくらぎの適用方法

 近線路を横断する開渠部や盛土から桁への乗移り部などの構造物境界部は、軌道の支持状態が急激に変わるので、一般部に比べて保守頻度が多くなる傾向にあります。縦まくらぎは、バラスト軌道の保守省力化に有効な手段ですが、構造物境界部への適用事例がほとんどなく、その効果は未検証でした。
 そこで、数値解析と実物大試験を実施し、構造物境界部における縦まくらぎの敷設方法と各種条件に応じた標準的な縦まくらぎ構造を設計する(図1)とともに、縦まくらぎが高低変位の抑制に有効であることを営業線への試験敷設で実証しました(図2)。

 具体的には、縦まくらぎを開渠の手前に敷設する方法(方法①)、開渠をまたいで敷設する方法(方法②)、縦まくらぎの端部を橋台に載せる方法(方法③)の3つの敷設方法の提案とそれぞれに応じた標準縦まくらぎ構造の設計を行いました。 
 これにより、敷設方法を定めれば個別設計を行うことなく縦まくらぎを選択できます。
 また、方法①で営業線に試験敷設し、高低変位を測定した結果、縦まくらぎは横まくらぎに比べて高低変位の進む速さが1/5程度に減少し、これまで横まくらぎで年3~4回の軌道整備が必要であったところ、22カ月間軌道整備が不要な状態(軌道整備を2年で6回省略)を保ちました。
 このような多頻度に軌道整備を行う箇所に縦まくらぎを敷設することにより、軌道整備に要するコストを削減することが可能となります。