燃料電池試験電車の走行試験結果(2004~2006年度)
1.はじめに
燃料電池試験電車を使って、構内走行設備を利用して走行を行った結果を(図1)~(図4)に示します。
2.構内試験線を利用した走行試験
構内試験線を利用した走行試験を行い、燃料電池最大出力90kW、最高速度40km/h以上を確認しました(図1、図2)。
3.車両試験台を利用した台上試験
走行距離に制約の無い車両試験台を利用した走行試験(実車負荷相当16t/軸×2軸)を行い、最高速度105km/hまでを確認しました(図3、図4)。
4.燃料電池のエネルギー変換効率と燃費の評価結果
走行により得られたデータから、燃料電池のエネルギー効率と燃費について評価を行いました (表1)。
- 試験結果から、燃料電池のエネルギー変換効率は、走行条件によらずほぼ50%程度の高効率になることが分かりました。
- また燃費については、走行条件により大きく差異が出ることを確認しました。
加速してすぐに減速する構内試験線の走行パターンと比較して、高い速度で、なおかつ低い出力で走行する時間割合が大きい車両試験台の走行条件の方が、燃費が4.5倍程度良好になる結果が得られました。
5.燃料電池試験電車の今後の展開
さらなるエネルギー効率向上を目的として、ブレーキ時の回生エネルギーを有効利用するためのバッテリー装置を搭載し、バッテリーと燃料電池のハイブリッド電源構成で2両編成にて走行を行う予定です。
なお、この技術開発の一部は、国土交通省からの補助金を受けて実施しました。
関連ページ
参考文献
- 山本貴光、古谷勇真、米山崇、小川賢一:「燃料電池試験電車の構内走行試験等による燃費及び効率の評価」、鉄道総研報告、第22巻、第2号、pp.53-58、2008.02
- 山本貴光、古谷勇真、米山崇、小川賢一:「燃料電池車両の開発~100kW級燃料電池による走行試験結果概要~」、RRR、Vol.64、No.8、pp.14-17、2007.08