燃料電池ハイブリッド電車の開発(2019年度~)
【開発した燃料電池ハイブリッド試験電車の概要】
鉄道総研は、水素エネルギーを活用し、省エネルギー化や環境負荷低減に貢献する次世代に相応しい鉄道車両として、燃料電池ハイブリッド電車の開発に取り組んでいます。より多くの線区への適用を目指し、搭載機器の小型化・高性能化により室内空間を確保するとともに、パワーを従前の1.5倍とし、起動加速度を高めた実用に近い試験電車が2019年に完成しました。
【主な特徴】
・燃料電池は高出力密度化、冷却装置の分散配置等により、出力を50%増すとともに、出力当たり体積を20%減少
・燃料電池用電力変換装置は、SiC(炭化ケイ素)素子や小型遮断器を採用し、体積を45%減少
以上により、鉄道事業者による将来の燃料電池電車導入に資する試験電車としました。
【従前の試験電車】
これまで鉄道総研では化石燃料をエネルギー源とするディーゼル車両を置換えることで、温室効果ガスの排出量を削減できる燃料電池鉄道車両の開発を進めてきました。2008年からは燃料電池とバッテリーのハイブリッド構成とした試験電車を用いて所内試験線での走行試験等を実施し、鉄道車両としての基本性能を確認しました。しかしこの時点では搭載機器が大きく一部は室内に設置されており、また加速性能もディーゼル車並みにとどまっていました。
【新しい燃料電池ハイブリッド試験電車の概要】
外観を図1に、機器の配置を図2に、機器が撤去された室内の状況を図3に、新しい試験電車の性能を表1に示します。同表には従前の試験電車の性能も参考として示します。
※本開発の一部は、国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。