排水パイプを打設した盛土の耐降雨性評価手法

図1に示すような排水パイプは、盛土の耐降雨性向上対策として多くの施工実績を有しているものの、これまで、その効果を評価する手法は確立されていませんでした。そこで、排水パイプの効果を定量的に再現するための浸透流解析モデルを作成し、これを用いた解析により排水パイプが打設された盛土の耐降雨性能を評価する解析手法を提案しました。

提案する排水パイプの解析モデルは図2のようなモデルであり、排水パイプを表す空洞の周囲に低透水性の層(スリットエフェクト層)を有することを特徴としています。

このような解析モデルを用いることで、排水パイプの効果を適正に評価することができ、盛土の耐降雨性を向上させるための排水パイプの適切な打設本数や間隔などを決定することが可能となります。図3には一例として、1000年確率降雨を外力として作用させた場合の切盛境界の盛土(詳細は表1参照)における排水パイプの最適施工仕様ノモグラムを示します。図から、どの施工条件の組合せを利用すれば、通常の純盛土と同等の安定性が確保できるかが分かります。

参考文献

  1. 渡邉諭、太田直之、西田幹嗣、浅野嘉文:盛土に適用する排水パイプの施工仕様決定ノモグラム、鉄道総研報告、第29巻、第1号、pp.29-34、2015.01
  2. 西田幹嗣、渡邉諭、太田直之、浅野嘉文:降雨時の盛土崩壊対策を評価する、RRR、Vol.71、No.6、pp.8-11、2014.06
  3. 太田直之、杉山友康、渡邉諭、髙馬太一、西田幹嗣、石川智史:盛土に用いる排水パイプの浸透流解析モデル、鉄道総研報告、第26巻、第9号、pp.35-40、2012.09