早期運転再開のための沿線の地下速度構造と地震動の推定

物理探査手法により地下構造を推定し、その情報と参照点で得られた観測地震動に基づき即時的に路線に沿って地震動を推定する手法を開発しました。

その手法では、まず、対象とする線路沿線に地震計を設置して物理探査手法により地震計位置の地下速度構造を推定します(図1)。

同時に、約100m間隔で微動を測定しH/Vスペクトル比を算出し(図2)、地震計位置の地下速度構造と算出したH/Vスペクトル比から、路線に沿った地下速度構造を推定します(図3)。

地震時には、参照点の観測地震動から算出した基盤入力地震動と、推定した微動測定位置の地下速度構造を利用することで、路線に沿った地震動を推定します(図4)。

この推定地震動情報により安全確認の要否や範囲の適正化が可能となり、状況によっては地震発生後の列車停止に伴うダウンタイムの短縮が期待できます。

本研究の一部は、国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。

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参考文献

  1. 岩田直泰・津野靖士・山本俊六:地震後の早期運転再開に資する鉄道路線上の詳細な地震動推定,鉄道総研報告,Vol.27,No.11,pp.11-16,2013
  2. 岩田直泰・津野靖士・山本俊六:宮崎県中部沿岸部における線状連続のS波速度構造および地震動の推定,物理探査,第67巻,第2号,pp.95-106,2014
  3. 岩田直泰・津野靖士:旧高千穂鉄道沿線における地下速度構造および地震動の空間変動評価,物理探査,第68巻,第2号,pp.91-100,2015