12. 被災盛土の早期・強化復旧技術の開発

盛土が地震・豪雨等で崩壊した場合、従来は大型土のうなどで暫定的に盛土断面を構築する応急復旧を行い、その後列車を運行しながら盛土による本復旧工事を行っていました。 この場合、本復旧工事にあたり仮土留めの施工や監視・徐行などが必要となります。 そこで、分割してストックしておけるかご枠を使用することで盛土部の施工速度を向上し、地山補強材・排水パイプの後施工により列車を運行しながら盛土の性能を向上することができる早期・強化復旧技術を開発しました(図1)。

提案復旧法の施工期間は、従来復旧法による応急復旧完了までの期間よりも3割程度増えるものの、本復旧完了までの期間を3割程度短くできます。
さらに、提案復旧法の工事費は、従来復旧法と比べて3~6割程度削減することができます。

提案構造の長期安定性評価を目的として、列車荷重の繰り返し載荷試験および有限要素解析を実施し、4級線区で3年間に作用する列車の繰返し回数相当を与えても残留沈下は8mm程度であり、バラスト軌道を支持する盛土の代替構造として適用可能なことを確認しました。
また、図2に示す提案構造の性能確認試験において、かご枠工の高い排水性能により降雨時の円弧すべり安定性が従来復旧法と比べて1.7倍となり、耐降雨性が向上することを確認しました。
さらに、かご枠と地山補強土材を併用することにより、破壊時の加速度が1.5倍以上となり、かご枠の一体性の向上や耐震性の向上を確認しました。これらの知見を取りまとめ、設計・施工の手引きを作成しました。