15. 経済的な中期軌道保守計画の策定システム

軌道の維持・管理業務の効率化には、「検査、状態診断、保守計画策定、保守」の管理サイクルを効果的に機能させることが重要です。 そのため、軌道検測車で得られた軌道変位データ等を有効活用し、短期から中長期までの各段階における保守計画を策定するツールの開発が課題となっています。そこで、5年程度の期間における軌道変位保守と道床交換の計画を作成する中期保守計画システムを開発しました。 図1に示すように、本システムで作成した中期保守計画を考慮しながら各年度の管理・計画システムが機能することで、効率的な軌道の維持・管理を行えるようになります。

開発した中期保守計画システムでは、軌道変位と保守の履歴データに基づいて道床状態を診断し、道床交換箇所を選択します。道床交換の優先度は、交換による軌道変位保守費の低減効果に基づいて算定されます。
そして、道床交換と軌道変位保守の各年度の最大保守量を与えると5年後の軌道状態を最良とする中期計画(各年度の道床交換、軌道変位保守箇所)が出力され、各保守量と軌道状態の関係を分析できる(図2)ため、維持したい軌道状態を、より少ない保守費で実現する保守計画を作成できます。また、出力された各年度の軌道変位保守箇所を年度計画作成時に考慮する他、新たに取得した検測データにより計画を見直す等、開発・実用化済みの管理・保守計画システムと連携して年度計画を更新することで、管理サイクルを継続的に効率化できます。

今回開発したシステムは、鉄道事業者が開発中の軌道保守計画システムの一部として導入され、2018年度から稼働を開始します。