18. 水素イオン型ジオポリマーによるコンクリート劣化抑制

コンクリートにしばしば生じる劣化現象であるアルカリシリカ反応(略称ASR)に対して、鉄道総研ではASR抑制効果が知られているゼオライトとリチウムイオン (Li+) を複合化した Li+型ゼオライトによるASR抑制剤を開発し実用に供しています。 しかし、Li材料そのものが比較的高価なため、低コスト化には限界がありました。

このため、ゼオライトと同様の性質を持ち水素イオン (H+) の含有が容易であることに加え、安価な産業副産物や鉱物資源を原材料とするジオポリマー技術に着目し、Li+型ゼオライトと比較して原材料コストが1/5 〜 1/10程度となるH+型ジオポリマーの合成方法を開発しました。

ひび割れ注入状況を模したモルタル試験体に、開発した H+型ジオポリマー入りのセメントペーストを注入施工して(図1)その膨張率を測定した結果、開発したH+型ジオポリマーは、材料コストが1/5以下にも関わらず既開発のLi+型ゼオライトと同等の膨張抑制効果を示すことがわかりました(図2)。
今後、新たな ASR 抑制用ひび割れ注入材料として、約3年後を目処に実用化を行い、コンクリート構造物の維持管理に役立てていく予定です。