12. 振動分析と機械学習を用いた駆動用機器の状態監視手法

 安全・安定な輸送の確保のため、車両の駆動用機器の異常を早期検知することが求められています。
 そこで、駆動用機器を対象とした状態監視手法を開発しました。

 主電動機やエンジン等の駆動用機器では振動による状態監視が有効です。
 しかし、駆動用機器は動作状態が複雑に変化するとともに走行に伴う振動が発生するため、単純に振動の大きさで異常を検知することは困難です。
 そこで、振動のオクターブバンド分析結果に対して機械学習の手法を適用し、正常状態の振動との周波数パターンの違いから異常を検知する手法を開発しました(図1)。

 オクターブバンド分析手法により得られた振動データの主成分を点の座標に対応させてプロットすると、異なる振動の場合は離れた位置にプロットされるため、正常振動に対応する点からの距離で異常を検知できます。
 また、本手法を周波数帯毎に分割して適用することにより、異常の種類を推定することも可能です(表1)。さらに、一定時間内における異常振動の発生率の推移から異常の進展度合いを評価することも可能となります。

 開発した状態監視装置を営業列車に搭載した事例では、提案手法により補機駆動装置の不具合発生の約50日前に予兆を捉えることができました(図2)