16. 地域鉄道に適した低コストロングレール軌道構造

 地域鉄道では、軌道の弱点であるレール継目が多数存在するため保守に苦慮しており、少ない改良費で効果の高い軌道構造強化策が必要です。特にロングレール化を低コストで実現できればレール継目が解消され、保守費を大幅に削減できるため、効果が高いと考えられます。
 しかし、従来のロングレール軌道構造は基幹線区向けに設計されており、導入コストが高いため地域鉄道への適用は困難でした。

 提案した構造では、木まくらぎは部分的にPCまくらぎに交換し、バラストは土砂混入状態のまま使用し、レールは継目落ち部分を切断して溶接します。
 解析による軌道の横方向安定性を確保するために必要なまくらぎの道床横抵抗力14.7kNは、土砂混入バラストにセメントを加えて安定処理を行う増強工により確保します(図1)。

 開発したロングレール軌道構造の実物大軌道模型を製作してレール加熱試験を行った結果、道床横抵抗力の増強工を施工した場合は70度のレール温度上昇量でも座屈しないことが確認できました(図2)。
 さらに、所内試験線の敷設では、座屈安定性を確保するための道床横抵抗力の増強工は、軌道延長1mあたり2万円以下で施工できることを確認しました。

 これらにより、新しいロングレール軌道構造では、従来の1/2以下のコストで導入できます。