14. 既設耐候性鋼橋に用いる高力ボルト摩擦接合方法

 耐候性鋼橋は、鋼材表面の固着した緻密なさびで防食を図る特殊な無塗装橋梁です(図1)。建設され始めてから40年が経過し、疲労き裂等の変状が生じ始めており、補修・補強のニーズが高まっています。
 一方で、補修・補強部材を接合するためには、鋼材表面のさびを大掛かりなブラスト機材を用いて完全に除去する必要があり、多くの施工時間や費用を要します。

 そこで、既設耐候性鋼橋の鋼材表面に固着した緻密なさびを積極的に活用した、高力ボルト摩擦接合方法を開発しました。
 本接合方法は、既設耐候性鋼橋の浮きさびのみを除去し(図2)、これに接合する補修・補強部材との摩擦で接合部の耐力を確保します(図3)。既設耐候性鋼橋のさびの状態は環境条件等により異なりますが、これらと補修・補強部材の表面性状の組合せに応じたすべり係数を示しており(表1)、接合部の必要ボルト本数や接合面積を設計することができます。
 なお、既設耐候性鋼橋のさびの状態は、外観による評価点によって区分します(表1)。

 本接合方法の適用により、補修・補強部材接合の施工に大掛かりな機材が不要になり、かつ、施工時間を短縮できるため、工事費が約1/3になります。