18. レーザ測域センサによる車載型の建築限界支障判定装置

 車両の走行安全のためには鉄道沿線に設置された設備の建築限界に対する支障の有無を判定する必要があります。従来は手検側や建築限界測定用の特殊車両を用いて判定していましたが、手検測では時間的・人的コストが、特殊車両ではイニシャルコストが大きくなる問題点がありました。
 そこで、対象物までの距離をレーザの反射時間により測定する「レーザ測域センサ」を用いて、沿線設備を連続的に測定できる建築限界支障判定装置を開発しました(図1)。
 本装置は車種を問わず設置でき、80km/h程度の走行速度で検査可能なため、検査を低コストで実現できます。

 建築限界を測定するための測域センサを車両妻部の右側・左側にそれぞれ2台ずつ設置します。また、妻面下部に2台の測域センサを設置してレール位置を測定し、走行時の車両動揺を補正します。
 これにより、踏切遮断機や器具箱などの厚みのある設備には枕木方向50mm以下、標識類などの薄型設備では誤差200mm以下であり、目標精度(200mm以下)を満足することを確認しました(図2)。目標精度を200mmとすることで手検測の建築限界測定業務の数を線区条件によっては1割未満に抑えられます。

 本装置は軌道検測車に取り付けることで通常の軌道検測の工程に合わせて測定でき、特別の車両運用を必要とせずに建築限界支障判定ができます。
 また、データは3次元形状(図3)で得られるため、支障部位の特定や、道床の断面形状から状態の良否判定などに活用できます。