1. 画像による特殊信号発光機の発光検知手法

 特殊信号発光機は踏切の非常ボタンなどと連動して発光し、運転士に沿線の異常を伝える役割を担っています。多くの路線では、運転士が発光を目視で確認してブレーキを操作し、列車を停止させているため、特殊信号発光機の見落としによるリスクが存在します。
そこで、さらなる安全性の向上のために、車載カメラを用いた点滅形の特殊信号発光機の発光検知手法を開発しました(図1)。

開発手法では、光学フィルタを装着した車載カメラを用いて列車の前方を撮影し、撮影した動画から画像処理によって特殊信号発光機の発光のみを検知します。交通信号機など他の赤色点滅灯との区別を短時間で行うために、まず動画に映っている特殊信号発光機の発光パターンを 1/ 0 の二値に変換し、この 1/ 0 の繰り返しを2進数として数値に変換します。そして、あらかじめ特殊信号発光機の発光パターンを数値化して登録したデータベースと照合することで、点滅の周期を周波数解析によって判定するよりも高速な検知を可能としました(図2)。
 鉄道総研の所内試験線で走行試験を実施し、600m相当の距離から85%以上の精度で検知でき、検知時間は発光開始から1秒以内であることを確認しました(図3)。

 本手法はカメラによる前方監視技術の一つの要素として開発したものです。カメラを用いて発光を検知するため、動画として情報が残せると同時に、他の対象物への適用も可能です。