6. 橋りょうの掛け違い部の耐震補強工法

 近年発生した地震により、桁高さの異なる桁を支持する橋りょうの掛け違い部において、鉄筋の座屈を伴う損傷が生じ、復旧に時間を要した事例が報告されています(図1)。掛け違い部を補強する場合、横桁や支承が妨げとなり、桁遊間部へのアンカーの設置や柱のように鋼板等の巻き立てが難しく、有効な補強工法がありませんでした。
 そこで、PC鋼棒、鋼板、あと施工アンカーを用いることで、桁遊間部への補強材の設置を必要としない耐震補強工法を開発しました(図2)。

本工法の特徴は、図2に示す右方向の慣性力に対しては、PC鋼棒により曲げ耐力を向上させ、図2の左方向の慣性力に対しては、鋼板により曲げ耐力を向上させます。せん断耐力は、あと施工アンカーにより向上させます。

 載荷実験により、補強前はせん断破壊したものが、補強後はせん断破壊することはなく、掛け違い部の曲げ耐力が補強前に比べて1.5倍に向上することを確認しました(図3)。