22. 走行時の窓開けによる車内換気の数値シミュレーション

 通勤型車両内の感染症対策のうち、「密閉」対策のひとつとして窓開けによる車内換気があり、換気量を定量的に評価することが求められています。
 そこで、走行時の窓開けによる車内換気量を予測できる数値シミュレーションツールを開発しました。
 また、各種条件下の換気量予測結果を整理し、換気量の簡易予測式を提案しました。

  車内換気のシミュレーションは、既開発の流体解析ツール「空気流シミュレータ」に換気量評価機能を導入することで実現しました(図1)。
 シミュレーションでは車外と車内の空気の流れを同時に計算します。その際、車内114箇所で連続的に発生させた仮想粒子を用いて空気の流れを追跡することで、換気量を評価します。
 また、窓開口高さ、座席配置、乗客位置などは可変であり、任意の条件に対する換気量の予測が可能になります。
 なお、シミュレーション結果は現車試験結果と概ね一致することを確認しています。

 シミュレーションにより、窓開口高さが半開以下の範囲では、換気量は列車速度および窓開口面積に比例することや、乗車率や座席配置による差は大きくないことが明らかになりました。
 また、この知見を元に、換気量の簡易予測式を提案しました(図2)。この予測式は、窓形状に応じた窓開口量の設定などの、鉄道車両の「密閉」対策の評価に活用できます。