26. 非接触空中超音波によるレール開口部の検知手法

 現在、軌道回路で列車位置とともにレール破断を検知していますが、無線式列車制御システムを導入した場合、別途レール破断を検知する手法が求められます。
 そこで、空中超音波センサにより車上から非接触でレールに超音波を発信し、受信した超音波の強度からレール開口部を検知する手法を考案しました(図1)。

 センサから、空気を経由しレールに超音波を入力する場合の透過率は極めて低く、センサを直接レールに接触させる場合の1万分の1程度となります。
 そのため、一般的な超音波探傷で用いられる波より強力な超音波を送受信でき、かつ、受信波強度を強力に増幅可能なシステムを採用しました。
 また、センサの離隔、振動の影響による超音波の減衰をできるだけ抑えるため、超音波の中でも 100kHz の比較的低い周波数帯域を用いました。判定を容易にするため、継目部と区別する手法や超音波の受信強度を時刻歴波形に変換して表示する手法も提案しました。
 また室内試験で、軌道回路では検出できないレール端部同士が接触した条件でも検知できることを確認しました。

 これらのシステムを試験車両に搭載し、速度80km/hまでの走行試験を試験線で実施した結果、レールに対して超音波を送受信することが可能であり、かつ開口部で超音波強度が低下することを確認しました(図2、図3)。
 現時点では、曲線などできしり音が発生した場合に、受信波形に雑音が含まれることなどの課題があり、今後改良を重ねて、実用化を目指します。