11. 車上計測した軌道変位による桁たわみ推定法
列車通過時の桁たわみは橋りょうの維持管理をする時の重要な指標ですが、従来は橋りょうを
1 連ずつ地上から計測していたため、膨大な時間と費用を要し、高頻度での桁たわみ計測による、
橋りょうの常時モニタリング等は困難でした。そこで、車上計測で得られる軌道変位を利用した
桁たわみの推定手法を開発しました。
車上計測による桁たわみ推定では、列車の走行に伴って時々刻々変化する桁たわみと軌道変位の
関係の解明と、観測された軌道変位から桁たわみ成分を分離する手法が必要でした。これに対し、
編成内の先頭と最後尾車両で計測される軌道変位の差分が桁たわみと比例することを理論的に解明
しました。この関係を利用し、軌道変位の差分により、静的な軌道変位を除去して桁たわみ分を抽
出し、それに変換係数を乗じて桁たわみを推定する手法を開発しました(図1)。本手法は、先頭
と最後尾車両に軌道検測装置が設置された編成で適用できます。実路線での適用の結果、車両の走
行速度が100km/h以下であれば、誤差約10%以内で車上から桁たわみ最大値を推定できます(図2)。
本手法は、路線全体からの桁たわみの大きい橋りょうのスクリーニングや橋りょうのモニタリ
ング結果に基づく補修時期の決定に活用できます。
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