17. 軌道等の剛性寄与を考慮した桁の振動特性の評価法
新幹線橋りょうでは、列車通過に伴う共振による顕著な振動が発生しているものがあります。橋りょう
の振動特性を正確に予測するには桁の曲げ剛性を適切に算定する必要がありますが、軌道等の版上設
備(路盤コンクリート、軌道スラブ、地覆等)の剛性寄与が未解明のため考慮することができず、従来
の方法では桁の設計が不経済となる場合がありました。そこで、版上設備の剛性寄与を考慮した桁の曲
げ剛性の算定法を開発しました(図1 左上)。さらにこの算定法は、コンクリート部材のひび割れによる
剛性低下も加味することができ、実橋りょうの実態に即した評価が可能です。
線区によって軌道等の版上設備の種類や形状が異なり、またコンクリート桁や合成桁等の構造種別
によってひび割れ発生の有無が異なります。これらの違いを主構造との一体性を表す有効係数という
一般化した指標を用いて、各部位の断面剛性に有効係数を乗じて桁の曲げ剛性を算定する方法を提
案しました。軌道等の版上設備の剛性寄与は、多様な桁構造を対象とした有限要素解析と実測により、
版上設備の種類毎に有効係数を定量化しました(図1 右上)。また、ひび割れが生じたコンクリート桁
の曲げ剛性の有効係数については、疲労試験に基づき繰り返しの増加によるひび割れの進展と曲げ
剛性の低下を考慮した推定式を提案しました(図1 右下)。提案法の妥当性は実測との比較により確
認しました(図1 左下)。提案法により、従来法では剛性を過小評価していたRC 桁、PC 桁、合成桁
に対して、列車走行に伴う振動増幅率を低減することが可能(図1 のRC 桁の例では剛性が80% 増
となり、振動増幅率を50% 低減でき、必要鉄筋量を約10% 削減)となりました。
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