1. 早期地震警報システムの性能評価法
早期地震警報システムに新たな警報手法を導入する際、迅速な警報発令により、安全性の向上が期待されます。その一方、警報発令の頻度が増大し、安定輸送の観点からは影響が生じる場合があります。
そのため、対象の路線に対して新たな警報手法を導入する際には、事前にその効果と輸送への影響の両方を定量的に把握することが必要です。
そこで、導入効果として最初の警報受信から強い揺れが到達するまでの時間差から算出する走行距離比(警報発令後の列車停止までの走行距離の相対変化量)、また輸送影響として警報を発令した地震検知点数から算出する空振り発令比(不要な警報発令の地震検知点数の相対変化量) を指標とする、早期地震警報システムの性能評価法と、その評価ツールとして地震時運転規制シミュレータを開発しました(図1)。
性能評価法、地震時運転規制シミュレータの検証として、過去の地震記録を用い、仮想の路線や地震検知点を対象にして既往の警報手法を比較するシミュレーションを行いました。この結果、手法ごとの導入効果や輸送影響の定量的な比較ができることを確認しました(図2)。
これにより、新たな早期地震警報手法を導入する前に、早期地震警報システムの性能変化を定量的に評価することが可能となります。この性能評価方法は、早期地震警報システムに新たな警報手法を導入する際の意思決定に活用できます。