8. 鹿忌避音自動吹鳴装置の長期持続効果の検証

 鹿の個体数が高止まりの状況の中で、生息域は年々拡大傾向にあることから、列車と鹿との接触事故件数は毎年約10%ずつ増加しています。
この問題に対し、鉄道総研では鹿忌避音(鹿が仲間に危険を知らせる警戒声と鹿が嫌う犬の咆哮を組み合わせた音)を、事前に設定した区間で列車から自動的に吹鳴する装置(図1、以降 「鹿忌避音装置」)を開発し、鹿との接触事故防止に効果があることを確認していましたが、効果の持続性の検証が課題となっていました。

 そこで、2022年4月から2024年12月の2年9カ月間、対象線区を走行する営業車両計39車両のうち、12車両に鹿忌避音装置を段階的に設置して効果の持続性に関する検証試験を実施しました。
その結果、千kmあたりの鹿との接触事故件数は、装置非搭載車両では約0.26回/千km、装置搭載車両は約0.16回/千 km となり、装置搭載により約3~4割の低減効果が長期的に持続することを確認し、統計的に有意性があることも確認しました(図2)。

 鹿忌避音装置は、 列車と鹿との接触事故に関して長期的に効果が持続する対策として期待できます。