5. フロントロッドの折損原因の解明と折損を防ぐ保守方法

 フロントロッドの折損は、転換不能を引き起こし大規模な輸送障害につながります。
現在も30分以上の列車遅延を伴う輸送障害がほぼ毎年発生しています。
これまで、フロントロッドの設計や材料の見直し、改良、原因調査が行われてきましたが、個別の事象に対するものに留まっていました。
そのため、折損の根本的な原因の解明や、対策や検査のポイントに関する一般化には至っていませんでした。

 そこで、現地調査や計測、新たに開発した数値解析手法等により、フロントロッドの折損は、主にフロントロッドの一部である肘金で発生し、ねじりや曲げ変形によって肘金長穴部の応力集中箇所において損傷リスクが高いことを示しました。
また、トングレール後端における上下方向の段差等、 設備の状態が原因となって生じる車両通過時の衝撃や、フロントロッドの左右離隔の調整不良が折損の原因であることを示しました。

 これらの原因を踏まえた折損を防ぐための保守方法として、外観検査において特に確認すべきポイントや、外観から判断が可能な調整目安等を示しました(図1)。
さらに、鉄道事業者が保守マニュアルを作成する際の記載例についても提案しました。