車両外観自動検査システムの開発

車両外観自動検査システムの開発

 鉄道車両を安全に運行するために欠かせない定期検査に必要な労力の削減や、検査品質の確保のための取り組みの一つとして、車両外観自動検査システムを開発しています。車両から機器を取り外さずに行われる「列車検査(仕業検査)」では、機器の取付状態や損傷の有無などを検査員が車両の近くまでおもむいて目で見て確認しています。

動画1 車両基地内に設置した撮影装置

※上記の動画は外部の動画サイトの埋め込みリンクです。

この作業を自動化するために、まず走行する車両の床下部側面を地上から連続撮影する装置を開発しました(動画1)。

図2 撮影装置の主な構成 この撮影装置は、レーザードップラー速度計で車両速度を検出しながらラインスキャンカメラとライン照明で高速撮影して画像を結合することで、車両速度や昼夜によらずブレのない高精細な連続画像を得ることができます(図2、動画2)。

動画2 撮影装置の主な構成

※上記の動画は外部の動画サイトの埋め込みリンクです。

 この装置で撮影される画像から、外観上の異常の有無を自動で診断するアルゴリズムの開発に現在取り組んでいます。これまで、外乱となる直射日光や雨などの影響を抑えつつ、正常な外観との差異を異常度として評価する診断アルゴリズムを開発しました(図3)。

 実際の運用車両を長期間撮影して検証した結果、形状が一定でない異物なども良好に検知できることを確認しました(図4)。

 今後も撮影対象の拡大や診断精度の向上に取り組み、人手に頼らない検査の実現を目指しています。

参考文献