シリコン緩衝器の性能向上

緩衝器は、連結された車両間に生じる力(自連力)を緩和する、鉄道車両が安全に走行する上で重要な部品です。駆動力や制動力の変動により、車両には前後方向の動揺が生じ、車両間の相対距離を一定程度に保持する連結装置には自連力が生じます。特に、救援運転等では著大な圧縮自連力が生じ、これが過大になると列車座屈に至るリスクがあります。

前後方向の乗り心地向上と列車座屈発生リスク低減を実現するには、発生する自連力の低下が効果的です。これを実現する要素技術として、シリコンゴムを用いた減衰要素(図1)を内部に導入した緩衝器(図2)を試作しました。

当研究室では、減衰要素内部の複雑なシリンダ・ピストン形状においても発生力特性を推定できる数値解析モデルを作成し、シリコン緩衝器組立品の強制加振試験結果と数値解析結果で発生力の傾向が一致することを確認しました。この解析モデルを活用して、減衰要素仕様の最適化を進めるとともに、編成に導入した際の前後振動や救援運転時の列車座屈リスク低減効果を評価しています。