SRC床版を用いた下路トラス橋梁の合理化設計法の開発

はじめに

従来の下路トラスは、床版のない構造や、縦桁と横桁を組み合わせた床組上にRC床版を設けた構造となっていましたが、横桁をコンクリートで一体化したSRC床版を下弦材と合成した下路トラス橋を開発しました(図1)。

2.SRC床版を用いた下路トラス橋梁の利点

  1. 床版が薄くなり、桁高制限の厳しい箇所にも適用可能
  2. 縦桁が不要、コンクリートの合成化により鋼重が低減
  3. RC高架橋と同程度まで騒音が低減
  4. コンクリート中の鋼材の塗装塗替えが不要なため、メンテナンスを低減

3.設計法の提案と鋼重低減効果

下路トラスでは、床版コンクリートに引張力が作用するので、コンクリートのひび割れに関する検討が重要となります。従来の設計では、作用する引張力に対して、①下弦材と鉄筋のみで抵抗するとした設計法と、②コンクリートのひび割れ後の剛性を考慮して引張力に抵抗する設計法から選択していました。しかし、①は鋼材料が多くなること、②は詳細なFEM解析が必要となってしまうという問題がありました。

本研究では、簡易でかつ合理的な設計法を提案しています。以下の表に示すように、支間60.5mの4径間連続下路トラスを設計した場合、本設計法では下弦材においては鋼重を約10%も低減することが可能となります。

参考文献

  1. 国土交通省鉄道局監修・鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)、付属資料18、2009
  2. 矢島秀治、市川篤司、村田清満、北園茂喜:SRC床組床版構造の鋼鉄道下路トラスへの適用に関する実験的研究、土木学会論文集、No.731/Ⅰ-63、pp.283-298、2003(※)
  3. 西田寿生、谷口望、江口聡、矢島秀治、村田清満:鋼繊維補強SRC床版のひび割れ挙動に関する解析的検討、鉄道総研報告、第17号、第3巻、2003.03

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