リベット桁支承部の疲労き裂に対する補強工法

1.はじめに

リベット桁では、支承部の下フランジに疲労き裂が頻繁に発生しています(図1)。このような疲労き裂に対して、下フランジの交換による補修(図2)が行われていますが、施工時の桁の仮受けに相当の費用を要するため、即座に補修できないケースも見受けられます。そこで、補修までの当面の期間において、疲労き裂の進展を抑制する簡易な補強工法を開発しました。

2.リベット桁下フランジの疲労き裂発生・進展原因

補強工法を開発するうえで疲労き裂の発生・進展原因を調べるため、既設のリベット桁を模擬した載荷試験、FEM解析を行いました。その結果、リベット桁の支承や端補剛材に隙が生じることで列車の荷重で下フランジが落ち込むように変形し、疲労き裂の発生・進展につながり得ることがわかりました(図3)。また、端補剛材の隙がなければ、下フランジの落ち込みが生じにくく、疲労き裂先端の応力が減少することもわかりました(図4)。

3.補強工法の概要

開発した補強工法は、L形の補強部材を端補剛材に設置し、下フランジと密着させることで、端補剛材の隙をなくして下フランジの落ち込みを拘束します(図5)。補強部材は桁側面から設置できるため、施工時に桁の仮受けを必要としません。

4.補強工法のき裂進展抑制効果

リベット桁を模擬した試験体を用いて補強工法の効果を検証しました。その結果、補強後では下フランジの落ち込みが減少し、疲労き裂先端の応力が大幅に低減されることがわかりました(図6)。さらに、補強後の試験体に対して繰り返し載荷(10両編成,200本/日で5年相当)を行い、補強後に疲労き裂が進展しなくなることを確認しました。これらの結果より、開発した補強工法が疲労き裂の進展抑制対策として有効に活用できることを確認しました。

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参考文献

  1. 濱上洋平,吉田善紀,小林裕介,永坂亮介:リベット桁支承部の疲労き裂に対する簡易な対策工法,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.73,I-440,2018.
  2. 吉田善紀,小林裕介,濱上洋平,永坂亮介:鋼橋の支承部の疲労変状を診断する、RRR、Vol.75、No.9、pp.16-19、2018.09