電車線構造研究室

Contact Line Structure

電気車両が必要とする電気エネルギーは、電車線と呼ばれる給電線からパンタグラフを介して供給されます。このため、電車線はレール・車輪と同様に電車線・パンタグラフの境界領域の現象を扱う分野であり、パンタグラフとあわせて研究を進めています。

具体的な研究課題は、速度向上や保守性の向上、耐震性の向上を目指した電車線の構造と、そのための性能の計測方法や評価方法等です。現在は、新幹線や在来線電車線の高速化と保守性向上、剛体集電系等の新しい集電方式の開発、電車線支持物の耐震性向上や取替基準の策定、集電部材の損傷メカニズムの解明等のテーマに取り組んでいます。電車線の開発には、電気的、機械的特性、パンタグラフとの動的な相互作用、すり板との摩擦、摩耗、さらには土木構造物の振動特性等、様々な特性や現象を考慮する必要があり、関連分野の研究室等と連携しながら取り組みを進めています。

研究開発

列車通過時の高架橋振動による電車線路設備の損傷低減対策

桁式高架橋などの一部において列車通過時の高架橋の桁振動により電柱が振動し、架線線条が疲労破断する事象が発生しています。そこで、列車通過時の高架橋振動による電車線路設備の損傷対策を開発するとともに、対策要否判定フローを提案しました。

桁式高架橋などの一部において列車通過時の高架橋の桁振動により電柱が振動し、架線線条が疲労破断する事象が発生しています。そこで、列車通過時の高架橋振動による電車線路設備の損傷対策を開発するとともに、対策要否判定フローを提案しました。

コンクリート電柱の取替基準 NEW

コンクリート電柱の補修や取替の判断を容易に行えるように、ひび割れ状況などを判断指標とした取替判定フローを新たに提案しました。

コンクリート電柱の補修や取替の判断を容易に行えるように、ひび割れ状況などを判断指標とした取替判定フローを新たに提案しました。

高速用き電ちょう架方式架線 NEW

従来型のき電ちょう架方式架線が持っていた高速域における集電性能の課題を、コンパウンド方式とすることで解決した新しい電車線構造です。

従来型のき電ちょう架方式架線が持っていた高速域における集電性能の課題を、コンパウンド方式とすることで解決した新しい電車線構造です。

PHCシンプル架線 NEW

高強度の銅合金トロリ線であるPHCトロリ線を採用することにより、高速性と経済性を両立した新幹線用の架線方式です。

高強度の銅合金トロリ線であるPHCトロリ線を採用することにより、高速性と経済性を両立した新幹線用の架線方式です。

剛体電車線とカテナリ架線の移行構造

簡易な構造で、パンタグラフの離線や電車線部材の疲労の原因となる振動の発生しにくい、低コストな剛体電車線とカテナリ架線の新しい移行構造を開発しました。

簡易な構造で、パンタグラフの離線や電車線部材の疲労の原因となる振動の発生しにくい、低コストな剛体電車線とカテナリ架線の新しい移行構造を開発しました。

160km/h超用剛体架線

将来の高速鉄道のトンネル区間への剛体電車線の適用を目的として、160km/h以上の速度に対応可能な性能を持った、新しい剛体電車線を開発しました。

将来の高速鉄道のトンネル区間への剛体電車線の適用を目的として、160km/h以上の速度に対応可能な性能を持った、新しい剛体電車線を開発しました。

新幹線高速走行に対応した電車線架設指針

トロリ線は一定の高さで水平に架設されることが理想ですが、実際の電車線には架設誤差が含まれています。この架設誤差は、架線・パンタグラフ系の集電性能に大きく影響しますが、高速走行に対する架設誤差の許容範囲についてはこれまで十分な検討が行われていませんでした。そこで、300km/hを超える高速走行においても安定した集電を実現するための電車線の新しい基準(架設指針)を提案しました。

トロリ線は一定の高さで水平に架設されることが理想ですが、実際の電車線には架設誤差が含まれています。この架設誤差は、架線・パンタグラフ系の集電性能に大きく影響しますが、高速走行に対する架設誤差の許容範囲についてはこれまで十分な検討が行われていませんでした。そこで、300km/hを超える高速走行においても安定した集電を実現するための電車線の新しい基準(架設指針)を提案しました。

離線アークが集電材料に及ぼす影響の解明と対策

トロリ線とパンタグラフすり板間で発生するアーク放電は、トロリ線とパンタグラフすり板が離れることで発生します。これを離線と呼びます。この離線の発生要因には、電車の速度増加によるもの、トロリ線とパンタグラフすり板間の異物介在によるものなどがあります。この離線がトロリ線やパンタグラフすり板に及ぼす影響について研究を進めています。

トロリ線とパンタグラフすり板間で発生するアーク放電は、トロリ線とパンタグラフすり板が離れることで発生します。これを離線と呼びます。この離線の発生要因には、電車の速度増加によるもの、トロリ線とパンタグラフすり板間の異物介在によるものなどがあります。この離線がトロリ線やパンタグラフすり板に及ぼす影響について研究を進めています。

アルミニウム合金製電車線柱の耐震設計

軽量かつ耐腐食性が高いアルミニウム合金を適用した電車線柱の耐震設計に必要な設計情報を提案し、「電車線路設備耐震設計指針・同解説」に基づいた耐震設計を可能としました。

軽量かつ耐腐食性が高いアルミニウム合金を適用した電車線柱の耐震設計に必要な設計情報を提案し、「電車線路設備耐震設計指針・同解説」に基づいた耐震設計を可能としました。

自動張力調整装置の伸縮量を増大させる現象とその要因

電車線の温度伸縮を吸収するために、端部には自動張力調整装置が設けられていますが、可動限界に到達する恐れのある箇所が報告されています。自動張力調整装置が可動限界に到達する要因を検討しました。

電車線の温度伸縮を吸収するために、端部には自動張力調整装置が設けられていますが、可動限界に到達する恐れのある箇所が報告されています。自動張力調整装置が可動限界に到達する要因を検討しました。

ちょう架線支持滑車の抑制抵抗と集電特性への影響

滑車支持方式のき電ちょう架式電車線における張力分布を測定したところ、引留から離れたドラム中央付近の径間では温度によって張力が大きく変動していることがわかりました。

滑車支持方式のき電ちょう架式電車線における張力分布を測定したところ、引留から離れたドラム中央付近の径間では温度によって張力が大きく変動していることがわかりました。

実験設備

集電試験装置 UPDATE

電車線とパンタグラフの動的な相互作用を測定し,性能評価を行う装置です。リニアモータ駆動により,実物のパンタグラフを搭載した走行台車が全長500mの走行路を最高速度200km/hで走行します。

電車線とパンタグラフの動的な相互作用を測定し,性能評価を行う装置です。リニアモータ駆動により,実物のパンタグラフを搭載した走行台車が全長500mの走行路を最高速度200km/hで走行します。

基準図書・書籍

電車線路設備耐震設計指針・同解説の改訂

2013年(平成25年)3月に改定された「電車線路設備耐震設計指針・同解説」の改訂までの経緯と改訂内容を簡単に説明します。

2013年(平成25年)3月に改定された「電車線路設備耐震設計指針・同解説」の改訂までの経緯と改訂内容を簡単に説明します。