支線と架空電線による高架橋上に設置された電柱の地震対策手法
高架橋上の電柱の地震対策の1つに、線路両側の電柱をビームで接続する門形化があります。門形化は、線路直角方向の振動低減には効果があるものの、ビームの質量が付加されることで線路方向の電柱固有周期が長周期化して高架橋と共振し、電柱振動が大きくなる可能性があります。そこで、地震時に電柱が高架橋と共振する恐れがある箇所において、電柱に支線を設置するとともに、架空電線を電柱に剛結支持して線路方向の電柱固有周期を短くし、高架橋との共振を抑制する手法を提案しました(図1)。
実物大設備における電柱固有周期の測定結果(図2)より、無対策の場合は0.5 sであるのに対して、支線のみの場合は0.2 sと短周期化していることがわかります。さらに電柱と架空電線を剛結支持することにより、支線の設置間隔を長くした場合(剛結支持+支線)も電柱固有周期は0.3 sとなり、短周期化することを明らかにしました。また、構築した解析モデルによる解析結果を測定結果と比較した結果、電柱の固有周期(図2)および地震時応答加速度(図3)は両者で概ね一致しており、解析モデルの妥当性を確認しました。
本手法による線路方向の電柱固有周期の短周期化効果と、L2地震動に対する電柱振動低減効果を計算した結果、支線設置間隔が短いほど、電柱固有周期の短周期化効果が高くなります(図4 (a) )。また、電柱固有周期の短周期化により、地震時の高架橋との共振を抑制して、電柱振動を低減できます(図4 (b) )。
本手法は、電柱の門形化による線路直角方向の地震対策と組み合わせることにより、従来の電柱建替えや補強と比較して、短期間かつ低コストに施工できます。