塑性域で使用するレール締結装置の疲労耐久性の評価法

【2013年度主要な研究開発成果】

1. 塑性域で使用されるレール締結装置

レール締結装置の疲労設計では、弾性域での使用を前提とした耐久限度線図を用いて締結ばねの発生応力を照査しています。
しかしながら、近年使用時に塑性変形を生じる線ばね形レール締結装置が普及しており、従来の耐久限度線図ではその疲労耐久性を十分に評価し得ないケースが生じていました。
このため、塑性域で使用するレール締結装置の評価法を構築する必要がありました。

2. 塑性域での使用を考慮した評価法の提案

塑性域で使用されるレール締結装置の締結ばねを評価する目的で、塑性変形を有する締結ばねに適用可能な耐久限度線図として、塑性域を含めた鋼材の機械的性質と弾性域の完全両振り疲労強度で構成されたひずみ表記による耐久限度線図を導出しました。

3. 評価法の妥当性の検証

提案した評価法の妥当性を検証するため、選定した締結ばねについて要素試験を実施し、提案した耐久限度線図の構築に必要な材料特性値を取得しました。
また、塑性域における締結ばねの疲労試験を実施し、提案した耐久限度線図と比較した結果、当該線図は、平均主ひずみの増加に伴い疲労強度が低下する試験結果の傾向を捉えており、概ね妥当なものであることを確認しました。

表1 取得したばね鋼の材料特性

図4 提案した塑性域を考慮した耐久限度線図

4. 評価法の活用

提案した評価法については、「鉄道構造物等設計標準・同解説(軌道構造)」で示された、レール締結装置の疲労破壊に関する安全性の照査で活用されています。

参考文献

  1. S. Tamagawa, H. Kataoka & T. Deshimaru. Fatigue limit diagram for plastic rail clips. Proceedings of COMPRAIL 2014. WIT press. 2014.(※)
  2. 玉川新悟、弟子丸将、片岡宏夫:塑性域を考慮した線ばね形レール締結装置の疲労耐久性の評価方法、鉄道総研報告、第29巻 第8号、2015年8月

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