風速計の違いによる最大瞬間風速の捉え方の違い

1.はじめに

風速計の応答性が異なる場合、観測される瞬間風速の最大値が影響を受けることがあります。現在、強風時の運転規制は、沿線に配置している風速計で観測した瞬間風速に基づいて実施しています。そのため、使用する風速計によって観測される風速が異なると、運転規制による安全で安定した輸送に影響を及ぼす可能性があります。そこで、国内で主に使用されている3種類の風速計(図1)を用いて、風速の同時観測を行い、その結果を評価しました。

2.最大瞬間風速の評価

3種類の風速計(風杯型(三杯型)、プロペラ型、超音波型)を用いて、10Hzの収録間隔で風速を観測しました。まず、この10Hzの風観測結果を、移動平均化時間をパラメータ(s秒)にとって瞬間風速を求めました。この瞬間風速のデータセットから10分間の最大値(10分間最大瞬間風速)を平均値(10分間平均風速)で割った値を求めました(図2)。この値は平均風速に対する最大瞬間風速の比を表すもので、突風率とよびます。この図より、瞬間風速を求める際の移動平均化時間(s秒)を短くとるほど、超音波型風速計では突風率が大きめに、風杯型風速計では突風率が小さめの値をとることが判ります。また、瞬間風速を求める際の移動平均化時間(s秒)を概ね3秒以上にとると、風速計の違いによる突風率の違いがほとんどみられないことが判ります。

3.本知見の活用

図2で得られた知見を強風時の運転規制の場面で考えると、同じ規制基準でも使用する風速計によって運転規制の頻度が多少異なる可能性があることを示しています。その一方で、瞬間風速を求める移動平均化時間(s秒)を3秒以上にとることで、風速計の違いによって運転規制のかかりやすさが異なるという問題を解消できることになります。