曲線引金具のひずみ計測による段付摩耗すり板の検出手法

1.はじめに

代表的なパンタグラフ異常にすり板の段付摩耗があります。すり板段付摩耗は短時間で成長し、パンタグラフの舟体の割損、ひいては電車線の損傷の原因になるため、すり板段付摩耗を早期に検知する手法が求められています。そこで、営業線に容易に適用可能な、曲線引金具のひずみ計測によるすり板段付摩耗の早期検知手法を開発しました。また、本手法に適した計測システムを開発しました。

2.特徴

・隣接する3つの支持点にセンサを取付けた振止金具もしくは曲線引金具(図1)を設置することにより段付摩耗を検知します(図2)。少数のセンサ(3個)で検知可能で、かつトロリ線などの線条にセンサを設置する必要がないため、施工・メンテナンスが容易です。
・列車の通過速度に依存せず、高い精度ですり板段付摩耗を検知することが可能です。
・開発した計測装置は、小型・軽量かつ低消費電力であるため、様々な電車線支持物に設置可能です(図3)。

参考文献

  1. 小山達弥、臼田隆之、川﨑邦弘、中村一城、川村智樹:電車線に設置したセンサ群によるパンタグラフ異常検出手法、鉄道総研報告、Vol.29、No.12、2015
  2. T.KOYAMA, T.USUDA, K. KAWASAKI, K.NAKAMURA, T.KAWAMURA, “Methods for Detecting Pantograph Defects Using Sensors Installed on Contact Lines”, QR, Vol.57, No.3, 2016
  3. 小山達弥、臼田隆之:曲線引金具の応力測定によるパンタグラフの異常検知手法、日本機械学会Dynamics and Design Conference 2015, USB論文集