バラスト軌道の動的応答と沈下挙動
1.はじめに
バラスト軌道の劣化現象解明のためには、バラスト層内部の動的挙動を十分な精度で評価する必要があります。そこで、本研究では弾性体個別要素法(QDEM)プログラムを開発し、個々のバラスト形状を詳細に再現したまくらぎ4本分のバラスト軌道モデルを構築しました。さらに、大規模解析の実用問題への適用例として、バラスト軌道有限要素モデルをFrontISTRをもとに構築し、現場での実測荷重を入力する応答解析により、バラスト層の劣化挙動の原因となるバラスト層の固有振動モードを解析的に求めました。
2.弾性体個別要素法によるバラスト軌道の沈下挙動
弾性体個別要素法(QDEM)プログラムを開発し、個々のバラストの詳細形状を再現したバラスト軌道モデルを構築しました。本モデルに対して、転がり接触解析モデルで得られた衝撃荷重を入力とする一方向連成解析を実施することで、列車通過時のバラスト軌道の弾性振動やバラストの回転・移動に伴う軌道の沈下解析が可能となりました(図1、図2)。
※この成果は、海洋研究開発機構との共同研究によるものです。
3.大規模並列有限要素法によるバラスト軌道の固有振動特性
バラスト間およびまくらぎ下面の接触箇所にばねを取り付けたバラスト軌道モデルを、FrontISTRをもとに構築し、過渡応答解析によりバラストの流動や沈下に影響のあるバラスト層の振動モードを再現しました(図3)。
※FrontISTRは、東京大学生産技術研究所革新的シミュレーション研究センターで開発されたソフトウェアです。