遠隔非接触計測による 構造物の検査・診断手法

1. Uドップラー

Uドップラーは、遠隔位置から構造物に生じる列車振動、衝撃振動、常時微動などを測定できるシステムです。UドップラーⅠおよびⅡは、既に鉄道事業者を中心に広く普及しており、鉄道橋の列車通過時のたわみ測定や高架橋等の健全度の検査(固有振動数測定)に活用されています。新しい長距離型Uドップラーは、数百m離れた場所から測定対象を自動的に検出・視準して振動測定および測量を実施できます(図1)。
例えば、長大橋の吊りケーブルやたわみの検査では、検査員が高所で計測機器を取り付けて行う必要があり、危険を伴い、検査できる数量も限られていました。Uドップラーを用いれば、遠方の地上から、常時微動とよばれる極微小な振動や列車通過時振動を、従来手法と同等の精度で測定できます(図2、図3)。

2. 構造物検査用ドローン

構造物検査用ドローン(図4)は、検査員が近付くことが困難な箇所でも、構造物の表面に付着して走行し、変状箇所の詳細撮影、打音検査、コンクリート内部の鉄筋探査などを行えます(図5)。構造物検査用ドローンによるコンクリート橋の桁下面のかぶり測定結果は、熟練者が足場を用いて測定した結果と十分に一致します(図6)。

3. 遠隔非接触測定による構造物の検査・診断手法の適用対象

遠隔非接触測定による構造物の検査・診断手法では、Uドップラーで得た構造物や部材の力学的特性とドローンで得た局所的な変状情報などを効果的に活用して、橋梁の健全度を評価します(図7)。

なお、本研究の一部は国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。