10. まくらぎ間隔拡大に対応したバラスト軌道の設計・管理手法

 地域鉄道の線路維持費を抑制するための手法として、一部の鉄道事業者ではバラスト軌道のまくらぎ間隔を拡大する試みが始められています。しかしながら、路盤や道床の状態によっては軌道の沈下が急速に進む恐れがあり、さらに、局所的な浮きまくらぎやレール締結装置の不具合などにより、列車の走行安全性に与える影響も懸念されることから、設計手法の整備が求められていました。
 そこで、地域鉄道のまくらぎ間隔拡大に対応した設計・管理手法を提案しました(図1)。

 この手法の概要は次のとおりです。
 ①広いまくらぎ間隔に対応した道床横抵抗力の算定や、細粒土混入バラストの条件での軌道沈下量を算定します。
 ②供用条件に応じたレール締結装置の設計作用を算定し、部材強度を照査します。
 ③新たに開発した浮きまくらぎ検出手法(軌道変位データと軌道諸元から数値計算により浮きまくらぎを検出する手法)を用いて、走行安全確保のための管理指標を定めます。
 以上より、軌道整備レベルや整備頻度、巡視頻度などの線区の保守体制に応じて、走行安全性の維持が可能なまくらぎ間隔を設定することができます。

 なお、開発した浮きまくらぎ検出手法は、軌道保守管理データベースシステム(LABOCS)に搭載します。
 また、提案した設計・管理手法は軌道構造の設計標準へ反映させる予定です。