13. のり面工と地山補強材による既設盛土の耐震補強設計法

 盛土には降雨対策を目的としてのり面工が施工されることが多くありますが、地震時ののり面工の効果は明らかになっておらず、耐震補強設計時にのり面工の効果は考慮されていませんでした。

 そこで、のり面工が盛土のり面を被覆する遮水効果、およびのり面工と地山補強材の連結効果に着目し、両効果の解明とこれを踏まえた耐震補強設計法の構築を検討しました。
 実際の盛土での長期計測および数値解析から、のり面工で盛土のり面を被覆することにより、盛土の飽和度の上昇を抑制する遮水効果があることを確認しました(図1)。
 また、のり面工により耐震補強に用いられる地山補強材が、一体化される連結効果によって地山補強材の抵抗力が増加し、地震時の盛土の耐震性が向上することを模型振動台実験により確認しました(図2)。
 これら2つの効果を導入した耐震補強設計法を提案し、実験や現場での挙動を再現できることを示しました。

 提案手法を用いて盛土の耐震補強の試設計を行ったところ、のり面工の効果により地山補強材の打設長を短くできることがわかりました(図3)。
 本手法により、盛土の耐震補強工事費を5~10%削減することが可能です。