11. 透過音によるバラスト劣化状態検査手法

 バラストには経年により破砕・細粒化が生じますが、その要因はこれまで十分には明らかにされていませんでした。
 そこで、列車荷重を想定した繰返し載荷試験、タイタンパおよびマルチプルタイタンパを用いたつき固め試験、並びにレール継目部等で生じる衝撃荷重を想定した衝撃載荷試験を実施し、破砕・細粒化が生じる要因を明らかにしました。
 試験結果から、バラストの劣化には列車荷重よりもつき固めの影響が大きく、人力でのタイタンパ作業では細粒分が多く生じ、マルチプルタイタンパでは粒径の大きい粒子が細かく破砕して細粒化が進行することがわかりました(図1)。

 一方、バラストの劣化状態を判断する定期検査はバラストを掘削して目視で判定する方法が一般的であり、掘削作業に労力を要するとともに、判定結果に検査者の主観によるばらつきが生じる課題がありました。
 そこで、バラスト内部を透過する音の大きさからバラストの劣化状態を迅速かつ定量的に評価する検査手法を開発しました(図2)。
 本手法を用いた室内試験および現地試験により、噴泥を引き起こす主要因である細粒分の含有率とバラスト内を透過する音の大きさに強い相関があることが明らかになりました(図3)。
 本手法は、短時間でバラストの劣化状態を測定できるため、従来の手法に比べて検査コストを70%削減できます。