14. 3次元計測と画像解析を用いた電車線検測装置

 電気検測車や営業車の屋根上に搭載し、電車線設備の各線条(トロリ線、ちょう架線など)および架線金具(ハンガー、コネクターなど)の架設状態を検測する電車線非接触測定装置と、小型の装置で高精度な計測が可能な、光切断法によるトロリ線摩耗計測手法を開発しました。

 電車線非接触測定装置(図1)は、画像解析とレーザー計測の併用により各線条と架線金具の3次元位置や形状を計測するものです。
 本装置を在来線車両の屋根上に搭載し、時速130kmまでの速度で計測を行った結果、トロリ線の高さおよび左右偏位を繰り返し計測精度±10mm以内で取得できること、90%以上のハンガーを画像から自動抽出できることを確認しました(図2)。
 本装置では電車線設備の状態を数値と画像で記録できるため、わたり線高低差やちょう架線張力などの検査や、架線金具の変形などの異常診断も可能です。

 光切断法によるトロリ線摩耗計測手法は、トロリ線に照射したスリット状レーザー光の形状から画像解析によりトロリ線下半分の3次元形状を計測するもので(図3)、しゅう動面の状態にかかわらず高精度な摩耗計測が可能です。試作装置を新幹線車両の屋根上に搭載した検証試験により(図4)、おおむね±0.1mm以内の誤差でトロリ線の残存直径を計測できることを確認しました。
 これにより、偏摩耗やしゅう動面のバリなどに起因したトロリ線残存直径の計測精度低下を防止できます。