12. 3次元画像を活用した構造物目視検査支援システム

 これまでの構造物の定期検査では、主に抽出した変状に対してのみ写真と検査員のコメントを記録していました。
 そこで3次元画像を活用した構造物目視検査支援システムを開発しました。
 本システムを利用することで、構造物の状態や周辺環境をいつでも3次元画像で直感的に確認できます。
 3次元画像は、目視検査をする際に自動で撮影した2次元画像から、SfM(Structure from Motion)技術を用いて生成されます(図1)。3次元画像を生成するには全方位から等間隔に撮影された画像を用いるのが一般的ですが、本システムでは広角に配置を調整した複数台のカメラによる撮影と必要画像の自動選別により、検査時の不均一な動作での撮影でも3次元画像の生成を可能としました。

 本システムでは変状抽出や記録の作成も可能です。検査時期の異なる3次元画像を直接比較することで変状を抽出しやすくし(図2)、かつ断面を比較することで形状の変化を定量的に評価することもできます。
 また、3次元画像上で指定した任意の点から元画像を自動抽出でき、かつその画像から検査台帳も作成できるため(図3)、検査後の写真整理や写真抽出の時間が不要となり、事務所内での作業を軽減できます。