1. 組積盛土式ホームの耐震補強法

 過去の地震において、組積盛土式ホームを構成する組積壁が転倒または傾斜する被害が多く発生しており、これらの被害を防止する耐震補強法が求められています。従来の耐震補強ではホームの取り替えが必要なため、高コストとなっていました。
 そこで、ホームの取り替えを必要としない低コストの耐震補強法を開発しました。

開発した補強法では、積石の抜け出し防止のためのポリウレア樹脂吹き付け、倒壊防止のための棒状補強材と、これらを接続するアングル材を組み合わせます(図1)。ホームの取り替えを必要としないため従来の方法に比べ70%程度のコストで施工可能です。
 また、積石の各段での地震時の安定計算から得られる「降伏震度」と、組積盛土式ホームの残留変位を算定可能な粒子法による大変形解析から得られる「残留変位算定用ノモグラム」を組合わせた、組積盛土式ホームの耐震補強設計法を提案しました(図2)。

 本耐震補強設計法を適用して補強した組積盛土式ホームの実物大模型を用いて、大地震時(最大加速度1000gal)の耐震補強効果を検証した結果、天端変位は制限値以下であり十分な効果を確認するとともに、本設計法の妥当性を確認できました(図3)。