5. 単眼カメラによる車載型の線路内支障物検知手法

 運転士が列車の支障物を発見した場合には、停止や減速などの措置を行っています。その際、列車前方の支障物を自動検知できると、運転士の負担を軽減し、安全性を高めることができます。
 そこで、目視による前方監視を代替・支援するため、ホーム上や線路内の人物を対象とした単眼カメラによる車載型前方監視手法を開発しました。検知対象である人物は、標識類などと異なり形状や姿勢や服装などが一定ではないため、一般的な画像処理手法では検知率に限界があります。
 そこで、数十万枚もの膨大な人物画像データを元に人物の特徴を学習して検知を可能とするディープラーニングを用いました。

開発システムでは4Kカメラを用い、昼間において300m遠方の立位の人物を98%以上の確率で、最大で475m先の人物を検知できました(図1、2)。
 また、静止・移動を問わず、人物が線路内に侵入してから1秒以内に警報を出力でき、リアルタイム検知が可能なため、列車前方の支障物検知の支援に活用できます。

 今後、線路内の自動車、線路陥没、土砂流入、落石、倒木など、検知対象の拡張や検知距離の拡大を図るとともに、見通しの悪い急曲線での地上からの監視技術との併用や夜間におけるライダーとの併用により、昼夜を問わず、列車前方の様々な事象を検知できるシステムへと発展させ、将来踏切などのある一般的な路線での自動運転にも活用できます。