6. 車両側面カメラによる車両への旅客接近検知手法

 車両発車時のホーム上の安全確認については、これまで乗務員の目視によって行われてきました。
 今後の長大編成列車のワンマン化などを見据えて、ホーム上の安全確認を自動化することが求められます。
 そこで、車両側面にカメラを取り付け、そのカメラ映像を解析することで、旅客などの車両への接近状態を自動的に検知し、列車発車時のホームの安全確認を行う手法を開発しました。

カメラは車両の両端部に、1両につき前後左右4台設置します。出発時にはプラットホーム側のカメラ2台分の映像を画像解析することで人物を検出し、点字ブロックなどの駅設備を目印にし、射影変換と呼ばれる座標変換技術を使って、ホーム上のどこに人物が立っているかを推定します(図1)。推定した人物の位置が車両に接近しすぎていると判定した場合は、乗務員に音と光で通知をします。なお、1秒間に10フレームの映像を処理することにより、リアルタイムで接近を通知することが可能です。
 開発した手法を組み込んだ試作装置にて評価を行った結果、昼夜を問わず人物の見逃しがなく、人物位置の検知誤差は最大でも 20cm 程度と内方線付点字ブロックの約半分であり、ブロックの外側の人物を見逃すことがない精度であることを確認しました(図 2、3)。

 本手法は、ワンマン運転における乗務員の安全確認の支援や将来の自動運転時におけるホーム上の安全確認にも活用できます。今後、車いす、ベビーカー、および駆け込み乗車へと対象を拡張することで、プラットホーム上のあらゆる安全を確認するシステムへと拡張します。