2. 狭あい箇所に設置可能な制震機能を有する落橋防止装置

 2016年の熊本地震での道路橋りょうにおいて、上下端がピン支持されている鋼製橋脚を有する橋りょうが被災したことを踏まえ、同様の構造を有する鉄道橋りょうの落橋防止や桁の変位抑制が求められています(図1)。
 このような橋りょうは幹線道路や鉄道を跨ぐ箇所に多く建設され、桁下空頭の制限や桁支承部の狭あいさなどの理由で既存の対策工法では落橋防止と桁の変位抑制を同時に満足できない場合があります。
 そこで、表1に示すように、①落橋防止、②桁変位抑制、③桁下を支障しない、④狭あい箇所に施工可能の4つの要求性能を満たす装置を開発しました。

 開発した装置は、図2のように、あと施工アンカーで下部工へ固定した複数の鋼棒を集成枠で一体化させ、桁に取り付ける構造で、高さ0.4m程度、幅が1.0m × 0.4m 程度と小型であり、狭あい箇所や桁下空頭の制限の厳しい箇所などにも設置可能です。また、鋼棒の塑性変形によるエネルギー吸収で桁変位を抑制する制震機能、および、鋼棒の高い延性により過大変位が生じた場合も桁の移動を抑制し、落橋を防止する機能を備えています。
 実橋を模擬した動的解析から、桁支承破壊後の桁変位が10 〜 50%程度低減可能であることを確認しています(図3)。
 本工法は、取り付け部を含めた設計法も整備しており、実橋りょうへの採用が決定しています。