8. 車両搭載型の動的軌間・平面性測定装置

 軌道検測車は高価なため、手押しの測定装置により、車両の荷重をかけない静的な軌道変位管理も数多く行われています。
 しかし、このような測定装置では車両走行時の輪重・横圧の影響を受けた動的な軌道変位を測定できないため、著大な軌道変位を見逃す可能性があります。
 そこで、保守用車や営業車に搭載し、脱線事故の要因になることの多い軌間と平面性変位の動的値の測定を、既開発の車載型検測装置の約 1/10 の価格で導入できる、動的軌間・平面性測定装置を開発しました。

本装置(図1)は、軌道変位を測定するセンサユニットと、ドップラーセンサのパルス信号を処理して走行距離や速度を求めるコントローラで構成されます。センサユニットでは、2次元センサで測定したレールとの相対変位と角度センサの出力を組合わせて軌間、水準、平面性を測定します。
 走行試験により、本装置は在来線の検測車に必要な再現性(誤差:軌間 0.5mm、平面性 1.0mm)を満足しており、かつ、検測車による測定結果との整合性があることを確認しました(図2)。
 また、GNSS測位結果を用いた測定位置検出誤差は25cm以下であり(図3)、遠隔操作機能を活用することで無人測定が可能です。

 本装置により、これまで軌道検測車が運用されていなかった側線や車両基地内などで動的な軌間・平面性が測定可能となり、走行安全性を向上できます。