4. 走行風を利用した台車周りの着雪抑制手法

 近年、北海道や北陸など積雪地域への新幹線延伸が進められており、その際の雪対策が課題となっています。
 このため、冬期・積雪地における、車両からの落雪に対する安全性向上と着雪除去作業の軽減を図るため、台車周りにおける雪粒子の流れを制御し、主に台車端部フサギ板周囲への着雪を抑制する手法を開発しました。

本手法は、台車側面から走行風を取り込むインテークと、取り込んだ風を台車端部フサギ板へ吹き出すノズルにより構成されます(図1)。

 模型走行実験および降雪風洞実験を実施し、雪粒子の台車内への移流と着雪の再現を行った結果、台車端部フサギ板の着雪質量が約50%軽減する見込みを得ました(図2(a))。
 また、模型実験で着雪抑制効果が見込まれた形状を対象にシミュレーションを行った結果、台車端部フサギ板周囲の着雪粒子数が約 30% 軽減することを確認しました(図2(b))。
 さらに、インテーク形状による空力騒音への影響を大型低騒音風洞で調べ、着雪対策の追加による騒音増加量は1dB未満に抑えられることを確認しました。

 今後は、実際の車両に本手法を適用して、着雪防止効果と騒音増加への影響を検証します。