車輪摩擦係数測定装置μ(ミュー)テスタ
1.はじめに
車輪/レール間の摩擦係数は、車両走行における粘着や乗り上がり脱線等に関係の深く、車輪またはレールの表面状態によって左右されます。また、車輪やレールの表面状態と摩擦係数との関係を調べるためには、直接車輪やレールを対象とする摩擦係数の測定手法が必要です。そこで、車輪やレールの摩擦係数を測定できる摩擦係数測定装置「μテスタ」を開発しました。(特許第3848857号、特許第4344665号)
2.測定原理・構成
レール長手方向の摩擦係数測定に使用されているレールトリボメータの測定原理を応用し、接触面の形状を球面とした測定用ローラーを測定対象面にばね力で押し付け、1点上をすべり回転させたときのローラーの回転抵抗と押付力から摩擦係数を算出します。測定原理と構成を図1に示します。測定終了後、摩擦係数測定値が制御計測器(図2)にデジタル表示されます。本体の外観を図3に示します。
3.特徴
本装置は以下のような特徴をもっています
- 車輪は踏面、フランジ面どちらにも対応可能です。
- 車両在姿状態(車両が走行可能な状態)での現場測定が可能です(図4)。
- 表面状態や環境による摩擦係数の変化を把握することができます(図5)。
参考文献
- 中嶋大智:車輪摩擦係数測定装置ミューテスター,RRR,Vol.76,No.10,p.38,2019
- 前橋栄一、飯田浩平、西山幸夫:摩擦測定装置「μテスタライト」の開発、検査技術、Vol.17、No.6、pp.59-67、2012
- 飯田浩平、前橋栄一:車輪摩擦係数測定装置「μテスタ」、R&m、Vol.18、No.2、pp.9-12、2010.02
- 前橋栄一、飯田浩平、西山幸夫:車輪およびレールの摩擦係数測定装置μテスタの開発、鉄道総研報告、第20巻、第11号、p.23-28、2006.11