鉄道車両に用いる着雪シミュレータの開発

1.はじめに

鉄道車両が冬季に降雪地帯を高速走行すると、線路上に積雪した雪を舞い上げ、車両に着雪していきます。着雪した雪が落下すると、車両や線路沿いの地上設備に損害を与えることがあります。

このような被害を防ぐために、着雪しにくい車両形状の開発が期待されています。そこで、降雪風洞を用いた着雪実験を元に着雪計算アルゴリズムを開発し、実験の結果を再現できる着雪解析手法を開発しました。

2.本解析手法の特長

図1に解析手法の計算手順を示します。まず、空気流シミュレータによる気流計算を行います。次に、空気流計算の結果を用いて、飛雪粒子の軌道を計算します。その後、着雪対象への飛雪の速度と着雪対象の向きを考慮した着雪計算アルゴリズムを用いて、着雪計算を行います。着雪形状を空気流シミュレータへと反映し、ふたたび気流計算を行います。このように、空気流計算と着雪計算をくり返し行うことで、着雪の成長を計算することができます。

3.実験と解析結果の比較

開発した着雪解析手法の妥当性確認を行うために、降雪風洞実験を模擬した解析を行いました。動画1に、立方体模型への着雪の様子を側面から見た結果を示します。画面右側から風に乗って飛んできた雪粒子が立方体模型の前面に着雪していく様子が見られます。実験と解析の結果を比較すると、おおむね着雪形状を再現できていることが確認できます。

動画1 降雪風洞実験と解析結果の比較

※上記の動画は外部の動画サイトの埋め込みリンクです。

  1. 室谷浩平,中出孝次,鎌田慈 : 鉄道車両に用いる着雪シミュレータの開発(その2)─実験から導き出した着雪発達条件を用いた着雪解析手法の検証─,雪氷,83巻5号,pp.465-487,2021

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