排雪シミュレーションの開発

1.はじめに

新幹線では現車による排雪試験などの結果に基づき、軌道上の積雪深に応じた走行速度規制等がなされています。しかしながら、現車試験はコストと期間がかかるため、試番数には限りがあります。そこで、鉄道総研では、現車試験を補完できるシミュレーション手法として、鉄道総研が開発を進めている粒子シミュレーションを改良した排雪シミュレーションを開発しました。

2.排雪実験

排雪シミュレーションの開発は、縮尺模型を用いた排雪実験とともに進めました。排雪実験では、鉄道総研の塩沢雪害防止実験所に設置されている全長60 mのガイドレール内を走行する台車にスノープラウを搭載した1/10車両模型を取り付け(図1)、スノーベッドを通過させて排雪状況を再現しました(動画1)。

動画1 排雪実験

※上記の動画は外部の動画サイトの埋め込みリンクです。

3.排雪シミュレーション

排雪シミュレーションでは、「ある一定の力がかかるまでは変形しないが、その値を超えると変形する」性質をビンガム流体モデルによりモデル化し、「さらに大きな力がかかると、大きく変形し、雪粒子に分離して飛散していく」性質を粒子法によりモデル化しました(図2)。動画2は排雪実験を再現した排雪シミュレーションの結果です。

動画2 排雪シミュレーション

※上記の動画は外部の動画サイトの埋め込みリンクです。

4.連成シミュレーション

排雪シミュレーションで計算した排雪力を車両運動シミュレーションに渡し、車両の姿勢と移動量を返す、連成シミュレーションを開発しました(図3)。この連成シミュレーションは、現車による排雪試験条件の事前検討、排雪走行時の走行安全性の評価、新規スノープラウの開発等に用いることができます。

参考文献

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