サーモグラフィカメラを用いた走行時の車輪/レール間の接触位置の特定手法

1.はじめに

数値解析により車両の運動特性を正しく評価するためには、車輪とレールの接触位置を正しく評価することが大切です。しかし、車輪とレールの接触位置を目視で確認しようとした場合、レール面付近の高さからしか確認することができないため、従来の研究では、走行時の車輪とレールの接触位置を把握することができませんでした。本手法では、サーモグラフィカメラを用いることで、走行時に車輪/レール間の接触面で生じる摩擦熱の残像を熱画像上で可視化し、熱画像の画素数と実際の長さの関係を参照することで、車輪/レール間の接触位置を定量的に把握します。

2.構内走行試験による検討

本手法の妥当性を確認するため、鉄道総研の構内試験線で走行試験を実施しました。熱画像上で車輪/レール間の接触位置を固定するため、サーモグラフィカメラは台車枠下の車輪と正対する位置に設置します(図1)。鉄道総研での構内走行試験の結果、輪軸が左右に大きく変位する曲線や分岐器を走行する時に、走行時の車輪/レール間の接触位置を定量的に把握できることが分かりました(図2)。

なお、本手法は全ての環境条件で安定して性能が発揮できるわけではないので、例えば、地表温度が比較的低く温度むらが少ない夜間に使用するなど、使用時には工夫が必要となります。このような特性から、車輪/レール間の現象解明に用いる測定ツールとして活用することを考えています。

図1 サーモグラフィカメラの設置位置

図2 熱画像から特定した走行時の左車輪(内軌側)とレールの接触位置

3.参考文献

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