指差喚呼のエラー防止効果体感教育
1.概要
現場では指差喚呼の形骸化が危惧されているようです。これには、普段の作業では指差喚呼がエラーを防止していることを実感できないという原因があると考えられます。そこで、従来から指摘されている指差喚呼の5つのエラー防止機能を検証し、それを体感できるシステムを開発しました。
2.指差喚呼のエラー防止機能
指差喚呼のヒューマンエラー防止効果は5つの機能(表1)によると言われています。実験により、それぞれの機能によるエラー低減効果が確かにあることを明らかにしました。
3.エラー防止機能体感システムの開発
指差確認の5つのエラー防止機能のそれぞれを個別に体感するために、主に認知心理学で用いられている課題を基に5つの課題を作成しました(図1~5)。
図1 点数え課題:散らばった点を数える課題。
「指差なし」と「指差あり」を比較
図2 じゃんけん課題:後出しで親に負ける手を出す課題。
「指差なし」と「指差あり」を比較
図3 色記憶課題:真ん中の色を選択肢から選ぶ課題の途中で前の色や一つ前の色を聞かれる課題。
「喚呼なし」と「喚呼あり」を比較
図4 瞬時判断課題:敵の出現率が高い状況で、敵が出たらボタンを押し、味方が出たら待つ課題。
「喚呼なし」と「喚呼あり」を比較
図5 時計課題:1目盛ずつ進む時計の秒針を監視し、まれに2目盛まとめて進んだらボタンを押す。
「指差喚呼なし」と「指差喚呼あり」を比較
4.エラー防止機能体感システムの有効性検討
指差喚呼のエラー防止機能体感システムの有効性を検証するため、鉄道事業者の運転士研修において本システムを用いた安全教育を実施し、指差喚呼がどのくらいエラー防止効果を持つと思うかをアンケート調査しました。その結果、すべての課題に関して研修後の指差確認のエラー防止効果の認識が5点満点中4.5点を越える高い評価を得られ、本課題を用いた安全研修の有効性が示されました。
5.販売:指差喚呼効果体感ソフト
上記の研究結果を踏まえ、指差喚呼のエラー防止効果を体感できるソフトを作成致しました。安全研修などで簡単に使用でき、受講者に指差喚呼の有効性と重要性について教育できるツールとなっております(図6)。詳しくは関連ページリンクからご覧ください。