踏切警報中の通行者の進入防止策

踏切事故の8割は歩行者と自動車によるものとなっています。また、両者共通の事故の原因として「直前横断(警報中の進入)」が挙げられます。このため、歩行者と自動車それぞれの警報中の進入を防止する対策を検討し、その効果検証を行っています。

歩行者の警報中の進入防止策

踏切歩行者への意識調査を行ったところ、本来「進入禁止」を伝える警報音の意味を「注意(して横断)」と認識している人がいました。このため、警報中の進入防止策として、本来の警報音の意味である「進入禁止」の理解促進のために、遮断かんの降下完了までの時間は変えずに、遮断かんの降下開始のタイミングを早めることを提案しました。
CG映像で踏切の歩行横断を模擬したシミュレータを用いて効果検証を行ったところ(図1)、遮断開始のタイミングを早めることにより、警報鳴動中に進入する歩行者が現行に比べ64ポイント低下することを確認しました(図2)。

参考:鉄道総研月例発表会動画

本提案について、第346回鉄道総研月例発表会で発表を行っています。
CGで再現した遮断開始タイミングを早めた場合の動きのイメージ等もご確認いただけます。

動画 音声メッセージと遮断開始タイミングによる踏切警報中の歩行者の進入防止
【第346回鉄道総研月例発表会ウェブ配信】

自動車の警報中の進入防止策

自動車の警報中の進入防止に対しては、「踏切に気づかせる情報提供」と「踏切警報の鳴動に備える情報提供」を行い、踏切直前での一時停止を促す対策について、ドライビングシミュレータを用いて効果検証を行っています(図3)。

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参考文献

  1. 鏑木俊暁、秋保直弘、斎藤綾乃、宮地由芽子:音声と遮断開始タイミングによる踏切警報中の歩行者の進入防止策、鉄道総研報告、第36巻、第1号、pp.35-40、2022.01