コミュニケーション技術の留意点の活用
1.背景
コミュニケーションでは、言い間違い、必要な情報が伝えられない、伝えるタイミングが遅い等の失敗がしばしば生じます。そのため、チームで作業を行う現場では、このような失敗を防ぐために、使用する語句や表現を統一したり、復唱や確認会話を行ったりするなどの対策が必要となります。
特に、災害や故障などが起きたときには、時間的重圧や情報が輻輳する中で円滑かつ正確にコミュニケーションを行う必要があります。
そこで、異常時のコミュニケーションで注意するべき項目として、「コミュニケーション技術の留意点」を作成しました。
ふだんの会話の確認や訓練等で、この留意点を活用することによりコミュニケーション技術を向上させ、異常時に対する安全意識の向上や協調体制の強化を促すことが期待できます。
2.コミュニケーション技術の留意点
留意点は、異常時の会話における3つの場面(下記)ごとに、注意すべき項目をリスト化したもので、全45項目からなります。
- 「指示や報告をするタイミング」
- 「指示や報告を行う場面」
- 「指示や報告に応じる場面」
下記のリンクから、留意点のチェックリストをダウンロードできます。
3.コミュニケーション技術の留意点の活用事例
①ふだんの振り返り
ふだんの会話で留意点を実行できているかを、チェックリストを用いて自分で確認し、異常時に必要な会話スキルに対する意識を高めることができます(図1)。
②シナリオ訓練
異常時の状況設定の下で役割に分かれ自由に会話(シナリオ体験)した風景をビデオで撮影し、そのビデオを見ながら議論(振り返り)を行います。シナリオ体験の前に、留意点のチェックシートを用いて、意識を高めておく(意識づけ)ことで、振り返りでの気づきを促進し、議論を活性化させることができます(動画1)。
図2は、モニター調査の訓練前後で、留意点に対する重要度の認識とふだんの業務での実行程度を7段階で評価した結果です。訓練によって、重要度の認識が向上するとともに、訓練後のふだんの業務での実行程度も上がっており、訓練による効果を確認できました。